事業承継で辞めたいと思ったことがある人へ|家業を継ぐ苦しさと向き合う為に

― 相談できない立場で、一人で考え続けてきた内省と支え ―

事業承継でストレスを感じている方へ。

家族経営の中で、
「なぜこんなにしんどいのか」と感じることはないでしょうか。

はじめに

「もう辞めたい。」
事業承継に携わる中で、一度でもそう思ったことはありませんか。

家業を継ぐことを決めたはずなのに、
会社へ行く足が重い。
判断をするたびに苦しい。
責任ばかりが増えていく。

そして、
「こんなことを思う自分は承継者失格なのではないか。」
そう自分を責めてしまう。

私自身も、事業承継の中で「辞めたい」と思ったことがあります。

もちろん、その時の私は会社が嫌だったわけではありません。
家業が嫌いだったわけでもありません。

それでも、
「もう限界かもしれない。」
そう感じた瞬間が何度もありました。

この記事では、事業承継で「辞めたい」と思う理由と、その気持ちにどう向き合ってきたのかを、自分自身の経験も交えながら整理してみたいと思います。

「辞めたい気持ち」は会社が嫌なのではなく、背負い続けた結果である

結論から言えば、
事業承継で辞めたいと思うことは、
珍しいことではありません。

それは、
家業が嫌だからではなく、
一人で背負い続けた結果として生まれる心のサイン
なのだと思います。

会社を辞めたい。
家業を継ぎたくない。

そう思う背景には、
責任。
孤独。
人間関係。
将来への不安。
そうした様々な要素が重なっています。

だから私は、
「辞めたい」
という気持ちそのものを否定する必要はないと考えています。

「継ぐ」と決めたのに苦しくなる理由

事業承継では、
自分で継ぐと決めた人も少なくありません。

だからこそ、
苦しくなったとき、
「自分で決めたことなのに」
と自分を責めてしまいます。

しかし、
決断したことと、
実際にその立場を経験することは別です。

会社を引き継いで初めて分かる重さがあります。

社員の生活。
取引先との信頼。
家族の期待。
そうしたものを毎日背負うことになります。

だから、
途中で苦しくなることは自然なことなのです。

社会で自分一人が生きていくのも精一杯なのに、
継いだ時点で自分という”器”一つに色々なものが
2つ、3つ、と積まれていく。

この状態でいわゆる”キャパオーバー”です。
ずっしりと重くなりますし、

苦しく感じるのは至極当然と考えます。

家業を継ぎたくないと思う自分が嫌だった

私が一番苦しかったのは、
「辞めたい」
と思うことではありませんでした。

そんなことを考えてしまう自分を、
認められなかったことです。

「もっと頑張るべきだ。」
「後継者なんだから弱音を吐くな。」
そんな言葉を、自分自身に言い続けていました。

その結果、
身体は休んでいても、
頭の中では会社のことを考え続けるようになっていました。

今思えば、
会社よりも、
自分自身を追い込んでいたのかもしれません。

「辞めたい」は逃げではなく、限界のサイン

当時は、
辞めたいと思うことは逃げだと思っていました。

しかし今振り返ると、
そうではありませんでした。

人は、
本当に限界が近づくと、
「もう続けられない」
という形で身体や心が教えてくれます。

それが、
辞めたい
という言葉になって現れることがあります。

だから私は、
その気持ちを否定するのではなく、
「何がここまで自分を苦しめているのか」
を考えるようになりました。

本当に辞めたかったのは何だったのか

ある時、
自分に問い掛けました。
「本当に辞めたいのは会社なのか。」

すると、
答えは違いました。

辞めたかったのは、
「考え続けること。」
「責任を一人で抱えること。」
「理解されない苦しさ。」

そうした状態でした。

会社そのものを嫌いになったわけではありません。
むしろ、
好きだからこそ苦しかった。
そう思えるようになった時、
少しだけ気持ちが整理できたように思います。

それに本当に”嫌い”であったのなら、
私自身何某かの”拒絶の反応”があったはずです。

確かなことは言えませんが、その時は、
“留まって考える意味”を感じていたのだと。

その結果として、余計に苦しかったのだと思います。

「辞める・続ける」の前に整理してほしいこと

もし今、
「辞めたい」
と思っているのであれば、
すぐに結論を出す必要はありません。

まずは、
何が苦しいのかを書き出してみてください。

例えば、
・親との関係なのか。
・社員との人間関係なのか。
・売上への不安なのか。
・自分の体調なのか。

一つひとつ整理していくと、
「辞めたい」
と思っていた理由が、
実は一つではなかったことに気付く場合があります。

私はこの作業を、
「ストレスの切り分け」
と考えています。

辞めたいと思った経験は無駄ではなかった

今でも、
あの頃を思い出すことがあります。
本当に苦しかった。

でも、
あの経験があったからこそ、
今は
「ストレスとは何か。」
を考えるようになりました。

栄養。
運動。
考え方。
環境。

そして、
自分自身を責めすぎないこと。

これらを意識するようになったことで、
以前より崩れにくくなったように感じています。

これが私の”土台””下支え”の源だと
今では自信をもって言えます。

「辞めたい」と思うことは、あなたが弱いからではない

事業承継で
「辞めたい」
と思うことは、
決して珍しいことではありません。

責任を背負い、
誰にも相談できず、
考え続ける日々が続けば、
そう思う瞬間があって当然です。

だから、
まずは自分を責めないでください。

そして、
「辞めたい」
という気持ちの奥にあるものを、
少しずつ整理してみてください。

もしかすると、
本当に辞めたいのは、
会社ではなく、
一人で抱え続けている状態なのかもしれません。

私自身、
そのことに気付くまで、
とても長い時間が掛かりました。

だからこそ、
今同じように苦しんでいる方へ、
この経験を残しておきたいと思っています。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

事業承継のストレスは、
能力や性格の問題ではなく、
構造によって生まれるものです。

もし今しんどさを感じているのであれば、

それはあなたの問題ではなく、
環境によるものかもしれません。

▼あわせて読みたい▼
〇私自身、この苦しさを長い間「自分の問題」だと思っていました。
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▶ 事業承継のストレスは能力ではなく構造の問題だった話

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