家族経営はなぜ喧嘩になりやすいのか?|親子経営でストレスを抱えやすい理由

― 相談できない立場で、一人で考え続けてきた内省と支え―

事業承継でストレスを感じている方へ。

家族経営の中で、
「なぜこんなにしんどいのか」と感じることはないでしょうか。

はじめに

家族経営をしていると、
「また言い合いになってしまった。」
そんな経験はないでしょうか。

仕事の話をしていただけのはずなのに、
いつの間にか親子喧嘩になっている。

会社の会議だったはずなのに、
家族の感情が入り込み、話がまとまらない。

私自身、家族経営の事業承継に携わる中で、
このような場面を何度も経験しました。

当時は、
「なぜこんなに話がこじれるのだろう。」
「どうして冷静に話せないのだろう。」
そう思っていました。

しかし今振り返ると、
喧嘩の原因は性格ではなく、
家族経営という環境そのものにあったように感じています。

この記事では、家族経営がなぜ喧嘩になりやすいのか、
そして親子経営でストレスを抱えやすい理由について、
自分の経験も交えながら整理してみたいと思います。

家族経営が喧嘩になりやすいのは「仕事」と「家族」が重なるから

結論から言うと、
家族経営で喧嘩が起こりやすい理由は、
仕事の話と家族の感情が切り離せないからです。

一般企業では、
会議が終われば仕事は一区切りです。

しかし家族経営では、
会社で終わらなかった話が、
食卓でも、
車の中でも、
休日でも続くことがあります。

親子である以上、
経営者同士としてだけではなく、
家族としての感情も動きます。

そのため、
本来は経営方針について話していたはずなのに、
いつの間にか
「昔からそうだった。」
「お前は分かっていない。」
という感情のぶつかり合いになってしまうことがあります。

正論より感情が前に出やすい

経営では、
数字やデータに基づいて判断することが大切です。

しかし親子経営では、
それだけでは済まない場面があります。

例えば、
新しい設備を導入したい。
営業方法を変えたい。
価格を見直したい。

そんな提案をしても、
親から見れば、
「今までのやり方を否定された。」
と受け取られることがあります。

一方で、
後継者は、
「会社を良くしたいだけなのに。」
と感じます。

お互いに会社を思っているにもかかわらず、
感情の受け取り方が違うため、
話が噛み合わなくなることがあります。

私も何度となく会社を出ても気持ちが休まらず、
夕食時でも仕事の話になったものです。

親子だから遠慮がなくなる

親子という関係は、
本来とても近い存在です。

だからこそ、
言葉が強くなりやすい一面があります。

会社の上司には言わないような言い方を、
親にはしてしまう。

逆に、
親も子どもだからこそ、
厳しい言葉をぶつけてしまう。

他人同士なら一度考えてから話すことでも、
親子だと感情が先に出てしまう。

この積み重ねが、
家族経営で喧嘩が増える理由の一つだと思います。

内容を深堀した論議とは聞こえが良いですが、
下手をすると端から見れば
「相手を追い込んでいる」風にも捉えられかねないやり取りに見えた、
私たち親子の会話を見ていた、近くにいた近親者から後に伝えられた事です。

喧嘩の本当の原因は「目的の違い」ではない

昔の私は、
親とは会社の方向性が違うと思っていました。

しかし今振り返ると、
目的は同じでした。

会社を守りたい。
社員を守りたい。
家族を守りたい。
その気持ちは同じです。

違っていたのは、
「方法」でした。

親は、
これまで会社を守ってきた経験があります。

私は、
これから会社を残していかなければならない立場でした。

同じゴールでも、
見えている景色が違う。
それだけだったのだと思います。

一番苦しかったのは「理解されない」と感じたこと

喧嘩そのものよりも、
私が苦しかったのは、
「分かってもらえない。」
と思っていたことでした。

本当は、
勝ち負けではありません。

「そういう考え方もあるんだね。」
と言ってもらえるだけで、
ずいぶん違ったと思います。

しかし当時は、
理解されたい気持ちが強すぎて、
経営方針よりも感情に意識が向いていました。

その結果、
話し合いではなく、
意地の張り合いになっていたこともあったように思います。

時に感情は仕事をするのに弊害となり得る、
その最たる例だと私自身感じています。

喧嘩を減らすために意識したこと

今でも意見が違うことはあります。
それでも、
以前ほど感情的になることは減りました。

理由は、
「相手を変えよう」
とすることをやめたからです。

代わりに、
なぜそう考えるのか。
何を守ろうとしているのか。
を考えるようになりました。

親には親の経験があります。
私には私の経験があります。

その違いを前提に話すようになると、
少しずつ対話ができるようになりました。

もちろん、
すべてが解決したわけではありません。
それでも、
「勝つための会話」
ではなく、
「会社を良くするための会話」
へ意識を変えたことは、
大きな転機だったように思います。

ここで「紙に書いて(書きながら)確認」は効果てきめんだったと思います。

言葉のやり取りだけでは頭の中での整理・発言と、結構な力の消費となりがちですが、
お互いの考えを紙に書き落としながらのやり取りは、
比較的感情の落ち着きを保ちながら一拍して話し合いが出来ます。

家族経営では「喧嘩をしない」より「引きずらない」ことが大切

家族経営では、
意見がぶつかること自体は避けられません。

会社の未来を真剣に考えていれば、
考え方が違うのは自然なことです。

だから私は、
喧嘩をゼロにすることよりも、
喧嘩を長引かせないことの方が大切だと思っています。

仕事の話は仕事として終える。
感情だけを翌日に持ち越さない。
そして、
「相手も会社を思っている。」
という前提を忘れない。

それだけでも、
人間関係のストレスは少し軽くなるように感じています。

家族経営で喧嘩になるのは、お互いに会社を大切に思っているから

家族経営では、
仕事と家族という二つの関係が重なります。

そのため、
意見の違いが感情の衝突につながることがあります。

しかし、
その背景には、

会社を守りたい。
社員を守りたい。
家族を守りたい。
という共通の思いがあることも少なくありません。

だから、
喧嘩になったことだけを見て、
「親子経営は失敗だ。」
と考える必要はないと思います。

私自身、
何度もぶつかりながら、
少しずつ
「相手を変えるより、相手を理解しよう。」
という考え方へ変わっていきました。

もし今、
家族経営の人間関係に疲れているのであれば、
まずは、
「何について喧嘩をしているのか」
ではなく、
「何を守ろうとしているのか」
を考えてみてください。

その視点を持つだけでも、
話し合いの空気は少し変わるかもしれません。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

事業承継のストレスは、
能力や性格の問題ではなく、
構造によって生まれるものです。

もし今しんどさを感じているのであれば、

それはあなたの問題ではなく、
環境によるものかもしれません。

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